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飲食店開業の流れ8ステップ|資金・届出・資格を時系列で解説

8 min

「飲食店を開業したいけれど、何から手をつければいいのか分からない」「届出や資格の準備が複雑そうで不安」──これから飲食店の開業を目指す方にとって、全体像の見えにくさは大きな壁です。

結論からお伝えすると、飲食店の開業準備は8つのステップを時系列で進めれば迷いません。コンセプト設計から営業許可の取得、オープン直前の最終確認まで、正しい順番で準備を進めることが成功への近道です。

この記事では、飲食店開業の流れを8ステップで時系列に整理し、必要な資金の目安・届出・資格・失敗を防ぐポイントまで網羅して解説します。準備期間の全体像を把握したうえで、確実に行動に移していきましょう。

飲食店開業までの全体の流れと期間

結論

飲食店の開業準備には6ヶ月〜1年が必要です。コンセプト設計から開業届の提出まで、8つのステップを正しい順番で進めることで、抜け漏れなく準備を完了できます。

開業準備は6ヶ月〜1年を見込む

飲食店の開業準備にかかる期間は、規模や業態によって異なりますが、最短で6ヶ月、余裕を持つなら1年前から着手するのが一般的です。特にコンセプト設計と物件探しは想定以上に時間がかかるため、早めのスタートが重要になります。

準備期間を大きく3つのフェーズに分けると、全体の見通しが立てやすくなります。開業6ヶ月〜1年前はコンセプト設計・事業計画書の作成・資金調達に集中し、開業3〜6ヶ月前は物件契約・内装工事・メニュー開発を進めます。そして開業1〜3ヶ月前に届出・資格取得・スタッフ採用・プレオープンを行う流れです。

飲食店開業8ステップのタイムラインと各準備期間の目安を示す図解

開業までの8ステップ早見表

飲食店開業の流れを8つのステップに分解すると、以下のようになります。各ステップで何をすべきかを把握しておけば、準備の優先順位が明確になります。

ステップ内容目安時期
ステップ1コンセプト設計12〜10ヶ月前
ステップ2事業計画書の作成10〜8ヶ月前
ステップ3資金調達8〜6ヶ月前
ステップ4物件探し・契約6〜4ヶ月前
ステップ5内装・外装工事と設備準備4〜2ヶ月前
ステップ6メニュー開発・仕入れ先確保3〜1ヶ月前
ステップ7届出・許可申請・資格取得2〜1ヶ月前
ステップ8スタッフ採用・プレオープン1ヶ月前〜

上記はあくまで目安であり、ステップの一部は並行して進めることも可能です。たとえば資格取得は講習の日程が限られるため、できるだけ早い段階で予約しておくとスムーズに進みます。

コンセプト設計から事業計画書の作成

ポイント
  • コンセプトは5W2Hで具体化し、競合との差別化ポイントを明確にする
  • 事業計画書は融資審査で必須。収支計画まで落とし込む
  • この2つが曖昧だと、以降の全ステップに影響する

コンセプトは5W2Hで具体化する

飲食店開業の流れにおいて、最初に取り組むべきはコンセプト設計です。コンセプトとは「誰に、何を、どのように提供するか」というお店の根幹を決めるもので、メニュー構成・立地選び・内装デザインのすべてに影響します。

コンセプトを具体化するには、5W2Hのフレームワークが有効です。Why(なぜ開業するか)、What(何を提供するか)、Who(誰に届けるか)、Where(どこで開業するか)、When(いつ営業するか)、How(どのように運営するか)、How much(いくらで提供するか)の7つの問いに答えることで、ぼんやりしたイメージが経営の指針へと変わります。

飲食店コンセプト設計の5W2Hフレームワーク7項目の図解

たとえば「健康志向の30〜40代女性に向けて、有機野菜を使ったランチプレートをオフィス街で提供する」のように、ターゲットと提供価値が一文で言い切れる状態を目指しましょう。コンセプトが明確であればあるほど、飲食店経営で成功する人の共通点にも合致しやすくなります。

事業計画書は融資審査にも必須

コンセプトが固まったら、それをビジネスとして成立させるための事業計画書を作成します。事業計画書には、事業内容・市場分析・競合分析・収支計画・資金計画などを盛り込みます。

事業計画書が必要になる最大の場面は融資の審査です。日本政策金融公庫をはじめとした金融機関は、事業の実現可能性と返済能力を事業計画書で判断します。融資を受けない場合でも、事業計画書の作成は自分の計画を客観的に見つめ直す機会になるため、必ず作成しましょう。

テンプレートは日本政策金融公庫のWebサイトから「創業計画書」としてダウンロードできます。開業の9ヶ月前までには完成させておくと、その後の資金調達がスムーズに進みます。

物件探しと内装・外装工事の進め方

ポイント
  • 居抜き物件なら初期費用を大幅に抑えられる
  • 物件契約前に保健所へ図面を持参して事前相談する
  • 内装工事の着工前に消防署への届出も確認する

居抜き物件とスケルトン物件の違い

飲食店用の物件には、大きく分けて居抜き物件スケルトン物件の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分のコンセプトと予算に合った物件を選ぶことが重要です。

比較項目居抜き物件スケルトン物件
初期費用安い(設備流用可能)高い(すべて新設)
工事期間短い(1〜2ヶ月程度)長い(2〜4ヶ月程度)
自由度低い(前テナントの影響大)高い(ゼロから設計可能)
注意点設備の劣化・衛生基準の確認費用が膨らみやすい

初めての開業であれば、居抜き物件を選ぶことで初期費用を数百万円単位で抑えられる可能性があります。ただし、前テナントの厨房設備が現在の営業許可基準を満たしているかは必ず確認してください。

また、物件を探す際は立地選びが集客に直結します。コンセプトで設定したターゲット層が多く集まるエリアを選び、周辺の競合状況や人通りの多さ、駅からのアクセスなどを総合的に判断しましょう。

居抜き物件とスケルトン物件の費用と工事期間の比較図

内装工事前に保健所へ事前相談する

内装工事に着手する前に、必ず管轄の保健所に図面を持参して事前相談を行ってください。これは飲食店開業の流れで見落とされやすいポイントですが、極めて重要です。

保健所では、シンクの数や手洗い設備の位置、厨房と客席の区画分けなど、営業許可の施設基準を満たしているかをチェックしてもらえます。着工後に基準を満たしていないことが判明すると、設計変更が必要になり追加費用と時間のロスが発生します。

あわせて、消防署への届出(防火対象物工事等計画届出書)も確認しておきましょう。テナントの用途変更やレイアウト変更を行う場合は、着工7日前までに届出が必要です。

開業資金の目安と資金調達の方法

結論

飲食店の開業資金は平均約1,000万円。自己資金は総額の3割(約300万円)を目安に準備し、不足分は日本政策金融公庫の創業融資や補助金で補うのが一般的な流れです。

開業資金の平均は約1,000万円

日本政策金融公庫総合研究所の「2025年新規開業実態調査」によると、開業費の平均値は975万円、中央値は600万円です。飲食店の場合は内外装工事や厨房設備への投資が大きいため、一般的に1,000万円前後を見込んでおく必要があります。

開業資金の内訳を見ると、主な費目は以下のとおりです。

費目割合の目安金額の目安
内外装工事費約40%約400万円
厨房設備・備品約20%約200万円
テナント賃借費用約15〜20%約150〜200万円
運転資金約20%約200万円

なお、小規模なカフェやテイクアウト専門店であれば500万円以下で開業できるケースもあります。飲食店開業資金ゼロから始める方法も参考にしてください。

飲食店開業資金の平均1,000万円の内訳を費目別に示した円グラフ

日本政策金融公庫の創業融資が最有力

飲食店の開業で最も多く利用されている資金調達先は、日本政策金融公庫です。政府系金融機関として創業支援に積極的で、実績のない開業者でも比較的融資を受けやすいのが特徴です。

2024年4月以降は「新規開業・スタートアップ支援資金」として制度がリニューアルされ、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)。新規開業者は原則として無担保・無保証人で申し込み可能で、自己資金要件も撤廃されています。ただし、実質的な支店決裁の上限は1,000万円程度と考えておくとよいでしょう。

融資審査では、事業計画書の内容と自己資金の蓄積過程が重視されます。コツコツと計画的に貯めた自己資金があるほど評価が高くなるため、開業を決意した段階から継続的に貯蓄する習慣をつけましょう。

補助金・助成金で負担を軽減する

自己資金と融資だけでは不安がある場合、補助金や助成金の活用も検討しましょう。返済不要の資金を得られるため、開業後の資金繰りにゆとりが生まれます。

飲食店開業で利用できる主な補助金・助成金には、小規模事業者持続化補助金(最大200万円)、IT導入補助金、各自治体の創業支援補助金などがあります。申請には事業計画書の提出が必要で、採択率は制度によって異なります。

最新の制度内容や申請方法は飲食店開業に使える助成金・補助金一覧で詳しくまとめていますので、あわせてご確認ください。

必要な資格・届出と取得手順

ポイント
  • 必須資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つだけ
  • 調理師免許は開業に必須ではない
  • 営業許可申請は内装工事完了の2週間前を目安に提出する

食品衛生責任者は1日の講習で取得できる

飲食店を開業するうえで全店舗で必ず1名配置しなければならないのが食品衛生責任者です。食品衛生法により、飲食店営業許可を受けるためには食品衛生責任者の届出が義務付けられています。

取得方法は、各都道府県の食品衛生協会が開催する養成講習会を約6時間受講するだけです。受講料は約1万円で、講義の最後に行われる確認テストに合格すれば資格が取得できます。資格は全国共通のため、取得した都道府県と異なるエリアで開業しても問題ありません。

なお、栄養士・調理師・製菓衛生師などの資格をすでに保有している場合は講習の受講が免除されます。講習の予約が取りにくい時期もあるため、できるだけ早い段階で申し込んでおくことをおすすめします。

飲食店開業に必要な届出5種類と資格2種類の一覧フロー図

防火管理者は収容30人以上で必要

防火管理者は、従業員を含めた収容人数が30人以上の飲食店で選任が義務付けられている資格です。小規模な店舗であれば不要なケースもありますが、席数だけでなくスタッフの人数も含めて判断する点に注意してください。

防火管理者には甲種と乙種があり、店舗の延べ面積によって必要な種類が異なります。

区分対象講習日数受講料
甲種防火管理者延べ面積300㎡以上2日間約8,000円
乙種防火管理者延べ面積300㎡未満1日間約7,000円

講習は日本防火・防災協会や各地域の消防署が実施しています。食品衛生責任者と同様に日程が限られるため、早めの受講を心がけましょう。カフェなどの小規模飲食店の資格については小さなカフェ開業に必要な資格の記事でも詳しく解説しています。

営業許可申請から開業届までの届出一覧

飲食店の開業には、資格の取得に加えて複数の届出・申請が必要です。提出先と期限を把握しておかないと、オープン日に間に合わなくなるリスクがあります。

届出・申請提出先提出時期の目安
飲食店営業許可申請管轄の保健所内装工事完了の2週間前
防火管理者選任届管轄の消防署営業開始日まで
防火対象物使用開始届管轄の消防署使用開始の7日前まで
開業届(個人事業)管轄の税務署開業日から1ヶ月以内
深夜酒類提供飲食店届管轄の警察署営業開始の10日前まで

特に営業許可は保健所の立ち入り検査に合格しなければ取得できないため、工事完了予定日から逆算して申請スケジュールを組むことが大切です。検査の予約が混み合うこともあるため、余裕を持って準備しましょう。

深夜0時以降にアルコールを提供する場合は「深夜酒類提供飲食店営業開始届」が別途必要です。自治体によって細かなルールが異なるため、不明点は事前に各届出先に確認してください。

開業直前の準備と失敗を防ぐポイント

注意

飲食店の倒産は近年増加傾向にあり、開業準備の甘さが廃業の主因になっています。運転資金の確保・メニュー開発・プレオープンの3つを妥協なく進めることが生き残りの条件です。

メニュー開発と仕入れ先の確保

コンセプトに沿ったメニューの開発は、飲食店の収益を左右する重要な工程です。食材原価率は売価の30%前後を目安に設定し、看板メニュー(集客商品)と利益率の高いドリンク類(利益商品)をバランスよく構成しましょう。

仕入れ先は、食材の品質・価格・配送頻度を総合的に比較して選定します。市場や卸売業者のほか、業務用食材の通販サービスも選択肢に入ります。複数の仕入れ先を確保しておくことで、欠品リスクやコスト変動への対応力が高まります。

スタッフ採用はオープン1ヶ月前に

従業員を雇用する場合、オープンの1ヶ月前を目安に採用活動を開始しましょう。オープン前に研修期間を設けて、接客マナーやオペレーションの習得に十分な時間を確保する必要があるためです。

人を雇用する場合は、労災保険の加入(労働基準監督署)や雇用保険の加入(公共職業安定所)などの手続きも忘れずに行ってください。法人の場合は社会保険への加入も必要です。

なお、人件費は飲食店経営における大きな固定費です。食材費(F)と人件費(L)を合わせたFL比率を売上の60%以下に抑えることが、経営を安定させるための基本指標とされています。

飲食店プレオープンで確認すべき5項目のチェックリスト図解

プレオープンで課題を洗い出す

本格的なオープン前に、知人や関係者を招いたプレオープンを実施することを強くおすすめします。プレオープンでは、実際の営業を想定したシミュレーションを行い、調理のオペレーション・接客フロー・会計処理など、各工程の課題を洗い出します。

プレオープンで特に確認したいポイントは、料理の提供スピード・スタッフの動線・レジ周りのオペレーション・トイレや客席の清潔感の4つです。この段階で改善できることは本番前にすべて修正し、万全の体制で開業日を迎えることが大切です。

開業後に後悔しないための準備については、飲食店開業で後悔する7つの理由も参考になります。事前に失敗パターンを知っておくことで、同じ轍を踏むリスクを減らせます。

飲食店開業の流れに関するよくある質問

この節のまとめ

飲食店開業に関してよく寄せられる疑問を4つ取り上げ、端的に回答します。

Q

飲食店の開業に調理師免許は必要ですか?

A

調理師免許は飲食店の開業に必須ではありません。必須資格は食品衛生責任者と防火管理者(収容30人以上の場合)の2つです。ただし、調理師免許を持っていると食品衛生責任者の講習が免除されるメリットがあります。

Q

未経験でも飲食店を開業できますか?

A

法律上、飲食業の経験がなくても開業は可能です。ただし、飲食業界での経験がない場合は事業計画の精度や現場オペレーションの習熟度に差が出やすいため、開業前にアルバイトや研修で実務経験を積むことが推奨されます。融資審査でも飲食業での経験年数は重視される傾向にあります。

Q

飲食店の開業資金はゼロでも始められますか?

A

制度上は自己資金ゼロでも融資を受けられる可能性はありますが、現実的にはハードルが高い選択肢です。金融機関の審査では自己資金の額と蓄積過程が重視されるため、総費用の2〜3割は自己資金として準備しておくのが望ましいでしょう。居抜き物件の活用やキッチンカーでの開業など、初期費用を抑える方法もあります。

Q

飲食店が廃業しやすいのは本当ですか?

A

中小企業庁のデータによると、宿泊業・飲食サービス業の廃業率は全業種の中で最も高い水準にあります。しかし、入念なコンセプト設計・十分な資金準備・現実的な収支計画があれば成功確率は大きく上がります。開業後に軌道に乗るまでは6ヶ月以上かかるケースが多いため、運転資金の確保が特に重要です。