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飲食店開業に使える助成金・補助金一覧【2026年最新】申請の流れと注意点も解説

16 min

飲食店開業に使える助成金・補助金を、制度ごとの金額・採択率・申請方法とともにまとめました。

助成金・補助金は返済不要です。ただし後払い(精算払い)が原則で、開業資金そのものには使えません。先に自己資金で支出し、事業完了後に補助金が振り込まれる仕組みです。それでも、活用すれば開業後の資金回収として大きな助けになります。
重要:交付決定前の支出は補助対象外です。採択→交付決定の後に事業を開始してください。この順序を間違えると、補助金を受け取れません。

私自身、飲食店の開業支援を通じて、補助金を上手に使った方と、使い方を間違えた方の両方を見てきました。この記事では、制度の仕組みから申請のコツまで、正直にお伝えします。

  1. 助成金・補助金は返済不要。ただし後払い(精算払い)で、申請から入金まで1年以上かかることもある
  2. 飲食店開業者に最も使いやすいのは小規模事業者持続化補助金(創業枠:最大200万円)
  3. 2026年度の主な変更:IT導入補助金→「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更、事業再構築補助金は終了
  4. 小規模事業者持続化補助金の直近の採択率は51.0%(第17回)
  5. 日本政策金融公庫の融資(最大7,200万円・無担保無保証人)も併せて検討すべき

目次

助成金・補助金・融資の違い|知らないと損する3つの資金調達

助成金と補助金は返済不要の給付金です。融資は返済が必要な借入金です。助成金は要件を満たせばほぼ受給でき、補助金は事業計画の審査があります。どちらも後払いが原則である点に注意してください。

助成金と補助金の違い

「助成金」と「補助金」は、どちらも返済不要という点では同じですが、管轄省庁と審査方式が異なります。助成金は主に厚生労働省が管轄し、要件を満たせばほぼ確実に受給できる制度です。補助金は主に経済産業省が管轄し、事業計画書による審査を通じて採択される必要があります。採択されるかどうかは審査の結果次第で、採択率が公表されています。

融資はこの2つとは本質的に異なります。金融機関から借り入れる資金で、返済義務と金利が発生します。資金調達の規模は大きくなりますが、後から全額を返済しなければなりません。

項目 助成金 補助金 融資
管轄 主に厚生労働省 主に経済産業省 金融機関(日本政策金融公庫等)
返済 不要 不要 必要(金利あり)
審査 要件充足でほぼ受給可能 事業計画書による審査。採択率あり 信用審査・事業計画審査
入金タイミング 後払い(精算払い) 後払い(精算払い) 審査通過後に振込
主な目的 雇用促進・労働環境改善 事業拡大・生産性向上 事業全般の資金調達

ポイントは「返済の有無」と「入金タイミング」です。助成金・補助金は返済不要ですが後払い、融資は審査後に振り込まれますが返済が必要です。この違いを踏まえて、自分に合った資金調達を組み合わせることが重要です。

飲食店開業者が必ず知るべき「後払い」の仕組み

助成金と補助金の違いを理解したうえで、次に押さえておくべきなのが「後払い」という仕組みです。補助金・助成金の仕組みで最も理解しておくべき点は、「後払い(精算払い)」であることです。具体的な流れは次の通りです。申請→採択→交付決定→事業実施→実績報告→入金という順序で進みます。入金されるのは、事業が完了して実績を報告した後です。

つまり、「補助金が入ってから工事を始めよう」という計画は成り立ちません。先に自己資金で内装工事や設備購入を行い、その費用の一部が後から補助金として戻ってくる、という理解が正確です。申請から入金まで1年以上かかるケースも珍しくありません。

注意:交付決定が下りる前に支出した費用は、補助金の対象になりません。採択の通知が来ても、交付決定の通知が来るまでは支出を開始しないでください。

私が支援した中で、最も多い誤解が「補助金をもとに開業できる」というものです。実際には先に自己資金で支出して、あとから補助金が戻ってきます。この順序を理解していないと、資金計画が根本から狂います。飲食店開業のリスクと判断材料を知りたい方は飲食店開業はやめたほうがいい?失敗率と成功するための条件もご覧ください。

飲食店開業で使える国の補助金制度5選|金額・採択率・活用例

飲食店開業者にとって最も使いやすいのは小規模事業者持続化補助金です。創業枠なら最大200万円。第17回の採択率は51.0%。店舗改装費やチラシ制作費、ウェブサイト制作費が対象になります。

助成金・補助金・融資の違いを整理したところで、ここからは具体的な制度の中身に入ります。国の補助金制度は種類が多く、目的によって使い分けるのが基本です。以下で主要な5制度を解説します。なお、かつて多くのメディアで紹介されていた事業再構築補助金は、すでに終了しています。2026年時点で実際に使える制度に絞って整理しました。

小規模事業者持続化補助金|創業枠なら最大250万円

小規模事業者持続化補助金は、飲食店開業者にとって最も使いやすい国の補助金です。従業員5人以下の小規模事業者が対象で、通常枠の上限は50万円ですが、開業後1年以内であれば「創業枠」が使え、上限が200万円に跳ね上がります。さらにインボイス特例を加えると最大250万円になります。

対象経費は幅広く、店舗の改装費・外装費・看板、チラシ・ウェブサイト制作などの広報費、新メニュー開発のための試作費なども含まれます。申請はjGrants(電子申請システム)を使い、GビズIDプライムアカウントが必要です。

項目 内容
対象者 従業員5人以下の小規模事業者(飲食業は商業・サービス業)
通常枠の上限 50万円(補助率2/3)
創業枠の上限 200万円(補助率2/3)※創業後1年以内、特定創業支援等事業の支援を受けた方
インボイス特例 上限額に一律+50万円(免税→適格請求書発行事業者に転換した場合)
創業枠+インボイス特例 最大250万円
主な対象経費 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、新商品開発費、店舗改装費等
申請方法 電子申請(jGrants)※GビズIDプライムアカウント必要

採択率は回によって変動します。直近のデータを確認しておきましょう。

引用元:中小企業庁「第17回採択発表」「第16回採択発表
公募回 応募件数 採択件数 採択率
第14回 62.5%
第15回 41.8%
第16回 7,371 2,741 37.2%(過去最低)
第17回 23,365 11,928 51.0%

採択率は公募期間の長さにも左右されます。第16回は公募期間が20日間と短く、準備が間に合わなかった申請者も多かったとされています。公式サイトは中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」、解説はミラサポplus「持続化補助金」でも確認できます。

ものづくり補助金|厨房設備投資に最大1,250万円

持続化補助金の上限では足りない規模の設備投資を検討している方には、ものづくり補助金が選択肢になります。ものづくり補助金は、生産性向上のための設備投資に活用できる補助金です。飲食店では高性能厨房機器の導入やセントラルキッチン構築、オーダーシステムの開発などが対象になります。補助上限は従業員数によって異なりますが、高付加価値化枠(通常類型)で750万円〜1,250万円です。

項目 内容
対象者 中小企業・小規模事業者(飲食業も対象)
高付加価値化枠・上限 750万円〜1,250万円(従業員数による)
省力化枠・上限 最大8,000万円
補助率 1/2(小規模事業者は2/3)
対象経費 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費等
2026年1次公募 2026年3月30日〜5月12日(予定)

採択率は近年、低下傾向にある点に注意が必要です。

公募回 応募件数 採択件数 採択率
第16次 48.8%
第18次 5,777 2,070 35.8%
第21次 5,336 1,698 31.8%

審査の厳格化・予算枠の縮小により、採択率は第18次以降で顕著に下がっています。事業計画書の完成度が採否を大きく左右するため、早めにミラサポplus「ものづくり補助金」で詳細を確認し、認定支援機関に相談することをお勧めします。公募・採択情報は中小企業庁「補助金の公募・採択」で確認できます。

デジタル化・AI導入補助金 旧IT導入補助金|POSレジやオーダーシステムに最大450万円

設備投資だけでなく、IT化にも使える補助金があります。IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変更されました。AI活用の支援がさらに強化された新制度です。飲食店ではPOSレジ、タブレットオーダーシステム、予約管理システム、会計ソフト、キャッシュレス決済端末などの導入に活用できます。

項目 内容
名称(2026年度〜) デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
対象者 中小企業・小規模事業者(個人事業主含む)
通常枠・上限 最大450万円
補助率 1/2〜4/5
1次公募予定 2026年3月30日〜5月12日

名称が変わっても制度の基本的な仕組みは継続しています。公式サイト(デジタル化・AI導入補助金)で最新の公募スケジュールを確認してください。

中小企業省力化投資補助金|券売機・配膳ロボットの導入に

IT系のソフトウェアではなく、券売機や配膳ロボットといった「省力化ハードウェア」を導入したい場合は、こちらの補助金が使えます。中小企業省力化投資補助金は、人手不足に対応するための省力化製品の導入を支援する補助金です。最大の特徴は「カタログ注文型」という申請方式で、事前に登録済みの製品をカタログから選ぶだけで申請できます。通常の補助金申請に比べて手続きが格段に簡素で、随時受付が行われています。

項目 内容
対象者 中小企業・小規模事業者(人手不足対応が目的)
カタログ注文型・上限 最大1,500万円
補助率 2/3(小規模事業者は最大3/4)
飲食店向け対象製品例 自動券売機、配膳ロボット、セルフレジ、自動精算機、食洗機等
申請方式 カタログ型は随時受付

公式サイト(中小企業省力化投資補助金)と、農林水産省・厚生労働省が公表する「省力化投資促進プラン ―飲食業―」(PDF)で飲食店向け対象製品の詳細を確認できます。制度解説はミラサポplus「省力化投資補助金」も参考になります。

【注意】事業再構築補助金は終了|後継制度は新事業進出補助金

注意:多くのウェブサイトで事業再構築補助金が「使える補助金」として紹介されていますが、この制度はすでに終了しています。2026年時点では申請できません。情報が古いサイトを参考にする際はご注意ください。

事業再構築補助金の後継として、2025年度から「中小企業新事業進出補助金」が運用されています。ただし、この制度には重要な制約があります。「既存事業とは異なる新事業への挑戦」が条件であり、新規開業(ゼロからの創業)には原則使えません。既に別の事業を営む中小企業が飲食業に新規参入する場合などに活用できる制度です。詳細は中小企業庁「中小企業新事業進出補助金(PDF)」で確認してください。また、事業再構築補助金の終了については事業再構築補助金 公式サイトでも確認できます。なお、2026年度からはものづくり補助金との統合が予定されており、第4回が最終回となる可能性があります。

実際に補助金の申請書類の作成を手伝っていて感じるのは、持続化補助金が最もバランスが良いということです。上限額は大きくありませんが、申請のハードルが比較的低く、飲食店の開業直後に使える経費の幅が広い。5制度以外にも活用できる制度があります。飲食店の助成金・補助金 全制度一覧では、国と自治体の制度を網羅しています。

雇用するなら見逃せない|キャリアアップ助成金で1人あたり最大120万円

アルバイトやパートを正社員に転換すると、1人あたり最大120万円の助成金を受給できます。飲食業は非正規雇用の比率が高いため、活用の機会が多い制度です。ただし、正社員化の前にキャリアアップ計画書の届出が必要です。

ここまでは経済産業省系の「補助金」を紹介してきました。ここからは厚生労働省系の「助成金」を解説します。飲食店でスタッフを雇う予定がある方は、ぜひ押さえておいてください。

キャリアアップ助成金の概要と金額

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、有期雇用労働者(アルバイト・パートなど)を正社員に転換した事業主に支給される助成金です。補助金と違い、厚生労働省が管轄する「助成金」なので、要件を満たせばほぼ確実に受給できます。

項目 内容
対象者 有期雇用労働者(アルバイト・パート等)を正社員に転換した中小企業事業主
助成額(1人あたり) 最大120万円(重点支援対象者の場合)
年間上限 20名まで
申請先 各都道府県の労働局・ハローワーク

詳細は厚生労働省「キャリアアップ助成金」の公式ページで確認できます。

飲食店で活用する際の注意点

キャリアアップ助成金で最も多い失敗は、正社員化の順序を間違えることです。先に正社員に転換してからキャリアアップ計画書を提出しても、助成金の対象になりません。正社員化の実施「前」に、労働局へキャリアアップ計画書を届け出る必要があります。

注意:先に正社員にしてから計画書を出しても対象外です。正社員化を決めたら、まず計画書を労働局に届け出てから転換手続きを進めてください。

また、就業規則の整備や出勤簿・賃金台帳の適切な管理も申請要件の一つです。2025年度から重点支援対象者(育児休業取得経験者など)への助成額が引き上げられた変更点も確認しておきましょう。申請様式は厚生労働省「キャリアアップ助成金 申請様式」からダウンロードできます。

個人的には、開業直後からこの制度を意識しておくことをお勧めします。飲食店は人の入れ替わりが激しい業種ですが、良いスタッフを正社員化するタイミングで助成金を受給できれば、人件費の負担を軽減しつつ定着率も上がります。

地域で使える自治体の助成金・補助金|主要9エリアの制度を紹介

国の制度に加えて、自治体独自の創業支援制度も見逃せません。東京都の創業助成事業は上限400万円と自治体系で最高クラスです。お住まいの地域の制度を確認し、国の補助金と併せて活用しましょう。

国の補助金と助成金を確認したところで、次は自治体独自の制度を見ていきましょう。国の制度と併用できるケースが多いため、見落とすと損をします。

自治体別・主な創業支援制度一覧

自治体の補助金・助成金は、国の制度とは別枠で申請できます。国の補助金を申請しながら、同時に自治体の制度を活用することも原則として可能です。主要エリアの制度をまとめました。

自治体 主な制度名 上限額 特徴
東京都 創業助成事業 400万円 自治体系最高額クラス。賃借料・広告費・器具備品購入費等が対象
大阪府 起業家グローイングアップ補助金 100万円 コンテスト受賞者向け。低利融資「開業・スタートアップ応援資金」も別途あり
名古屋市 スタートアップ企業支援補助金 100万円 厨房機器・家賃・広報費も対象。創業後5年以内。令和7年度は2025年4月〜5月に募集
福岡県 よかとこ起業支援金 200万円 地域課題解決型。43道府県で実施の起業支援金の一環
福岡市 新規創業促進補助金起業・創業応援サイト 登録免許税半額相当 予算到達次第終了。早めの確認が必要
横浜市 創業支援補助金 20万円 少額だが申請が比較的容易
千葉市 創業支援補助金 50万円 千葉県産業振興センターが窓口
札幌市 新規創業促進補助金 独自の継続支援あり
愛知県 スタートアップ創業支援事業費補助金 IT・新技術活用が条件

上限額は東京都の400万円が突出しています。それ以外の地域では20万〜200万円が相場です。自分の自治体の制度を調べることで、国の補助金に上乗せできる可能性があります。

自分の地域の制度を探す方法

自治体ごとの制度を把握したところで、次は自分の地域で使える制度を見つける具体的な方法を解説します。

自治体の補助金情報は一か所に集約されておらず、探しにくいのが現状です。以下の3つの方法で効率よく調べられます。

  1. ミラサポplusで地域を絞り込んで検索する(国・自治体の制度を横断的に検索できる)
  2. 自治体名+「創業支援」で検索する(各市区町村の産業振興課のページがヒットすることが多い)
  3. 最寄りの商工会議所または市区町村の産業振興課に電話で問い合わせる(最新情報を直接確認できる)

余談ですが、自治体の補助金は「知っている人だけが使っている」状態です。国の制度と違って情報が散在しているので、まずは自分の市区町村の産業振興課に電話で問い合わせてみてください。意外なほど丁寧に教えてもらえます。

各地域の制度詳細は以下の記事で詳しく解説しています。飲食店開業に使える福岡の助成金・補助金 / 飲食店開業 東京の助成金ガイド / 飲食店開業 千葉の助成金 / 飲食店開業 神奈川の助成金 / 飲食店開業 大阪の補助金

日本政策金融公庫の融資|補助金だけでは足りない資金を調達する

補助金は後払いのため、開業時の資金は融資で調達するのが現実的です。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、最大7,200万円を無担保・無保証人で借りられる、飲食店開業の最有力融資先です。

ここまで紹介した助成金・補助金は、すべて後払いです。つまり開業時点で手元に現金がなければ、そもそも事業を始められません。開業資金を調達するために、融資の活用が現実的な選択肢になります。

新規開業・スタートアップ支援資金の概要

日本政策金融公庫は政府系金融機関で、創業者向けの融資に力を入れています。2025年3月に「新規開業資金」が「新規開業・スタートアップ支援資金」に改称され、2024年3月には「新創業融資制度」が廃止・統合されました。廃止後も無担保・無保証人という主要な条件は引き継がれています。

項目 内容
名称 新規開業・スタートアップ支援資金
対象者 新たに事業を始める方 or 事業開始後おおむね7年以内
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
返済期間 設備資金20年以内、運転資金10年以内
据置期間 5年以内
金利 年1.20〜4.00%(2025年5月時点)
担保・保証人 不要

公式ページは日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」、および日本政策金融公庫「創業支援」で詳細を確認できます。

金利優遇と自己資金の目安

融資の概要を押さえたうえで、次に知っておきたいのが金利優遇と自己資金の目安です。以下の属性に該当する方は、基準利率より低い特別利率が適用されます。女性、35歳未満の男性、55歳以上の男性が対象で、「女性、若者/シニア起業家支援資金」を活用することで金利優遇を受けられます。

自己資金の目安について、日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」では次のデータが公表されています。

引用元:日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」

実務上は、創業資金の30%程度を自己資金でまかなえると審査が通りやすくなります。20坪程度の飲食店の開業費用は1,000〜1,500万円程度が目安です。自己資金300〜450万円+融資600〜1,000万円という組み合わせが現実的なラインです。

私の経験上、開業資金の3割程度は自己資金で用意できると、融資の審査はかなり通りやすくなります。補助金は後払いなので開業時点では使えませんが、融資と補助金を組み合わせることで、開業後半年〜1年で自己資金を回収できる計画が立てられます。

あなたに合う制度の選び方|ケース別おすすめ一覧

制度が多すぎて迷うのは当然です。あなたの状況(事業規模、目的、タイミング)に合わせて、最も使いやすい制度から申請するのが鉄則です。以下のケース別ガイドで、自分に合う制度を絞り込んでください。

ケース別おすすめ制度テーブル

6つの典型的なケースに対して、最もおすすめの制度をまとめました。状況に応じて最適な制度が異なります。自分のケースに当てはめて確認してください。

あなたの状況 おすすめ制度 上限額 理由
従業員5人以下・開業後1年以内 小規模事業者持続化補助金(創業枠) 200万円 最も申請しやすく対象経費が幅広い
IT化・キャッシュレス化したい デジタル化・AI導入補助金 450万円 POSレジ・予約管理等のIT導入に特化
厨房設備に大きな投資が必要 ものづくり補助金 1,250万円 高額な設備投資に対応。採択率は低め
券売機・配膳ロボットを導入したい 中小企業省力化投資補助金 1,500万円 カタログから選ぶだけで申請可能
アルバイトを正社員にしたい キャリアアップ助成金 120万円/人 要件充足でほぼ確実に受給可能
異業種から飲食業に参入(既存事業あり) 中小企業新事業進出補助金 高額枠あり 既に事業を営む事業者が対象。創業のみの方は対象外

迷ったら「小規模事業者持続化補助金(創業枠)」から始めるのがおすすめです。申請ハードルが最も低く、対象経費の幅も広いため、初めての補助金申請に最適です。

制度の併用と優先順位

自分に合う制度が見つかったら、次に考えるべきは「どの順番で申請するか」です。複数の補助金・助成金を同時に申請することは、原則として可能です。同じ経費に複数の補助金を使うことはできませんが、異なる経費に対して別々の制度を活用する「制度の組み合わせ」は有効な戦略です。

申請の優先順位の目安を以下に示します。

  1. まず:小規模事業者持続化補助金(創業枠)——申請ハードルが最も低く、開業直後から使えるため
  2. 次に:デジタル化・AI導入補助金——IT化を進めるタイミングで申請
  3. 従業員を雇い始めたら:キャリアアップ助成金——正社員化の前に計画書を届け出る
  4. 事業が軌道に乗ったら:ものづくり補助金——設備投資の大規模化に合わせて検討

GビズIDの取得(2〜3週間)は全補助金申請の共通手続きです。どの制度を使うにしても、まずGビズIDプライムアカウントを取得しておくことをお勧めします。

補助金申請の流れと不採択を防ぐ10のポイント

補助金の申請は、GビズIDの取得から始まり、事業計画書の作成、電子申請、審査、交付決定、事業実施、報告、入金という流れで進みます。申請から入金まで1年以上かかることもあるため、スケジュール管理が非常に重要です。

申請の基本フロー

補助金申請の流れを11ステップに分けて整理します。特に「交付決定の前に事業を開始しない」という点が最重要です。

  1. GビズIDプライムアカウントの取得(2〜3週間かかる。今すぐ手続きを始める)
  2. 公募要領の確認(対象者要件・経費・スケジュールを確認)
  3. 事業計画書の作成(1か月以上かかることが多い)
  4. 商工会議所・商工会への確認・相談(持続化補助金は必須手続き)
  5. 電子申請(jGrants)
  6. 審査期間(2〜4か月)
  7. 採択の通知
  8. 交付申請・交付決定(採択≠交付決定。交付決定通知を待つ)
  9. 事業実施(交付決定後に開始。工事・購入はここから)
  10. 実績報告書の提出
  11. 補助金の入金(報告審査後)
フェーズ 期間の目安
GビズID取得 2〜3週間
事業計画書作成 1か月以上
審査〜採択 2〜4か月
補助事業実施期間 6か月〜1年
実績報告〜入金 1〜3か月
合計(申請〜入金) 1年以上

合計1年以上かかる点が最大の注意点です。開業スケジュールから逆算して、少なくとも1年半前には申請準備を始める計画を立てておきましょう。

よくある不採択理由10パターン

申請の流れを理解したところで、次は不採択を防ぐポイントを見ていきます。不採択になる理由のほとんどは、事前に防ぐことができます。以下の10パターンを把握しておくだけで、採択率は大きく変わります。

  1. 事業計画書の目的が「設備の買い替え」止まり——どう事業が成長するかを書けていない
  2. 数値目標が具体的でない——「売上増加を目指す」ではなく「3年後に売上30%増」と書く
  3. 収支計画が楽観的すぎる——根拠のない高成長予測は審査で見透かされる
  4. 補助対象外の経費が含まれている——公募要領の対象経費を熟読する
  5. 見積書の有効期限が切れている——申請時点で有効な見積書を用意する
  6. 記入漏れ・添付書類の不備——チェックリストと照合して確認する
  7. 交付決定前に事業を開始してしまう——最も多い、かつ取り返しのつかない失敗
  8. キャリアアップ助成金で正社員化前に計画書を出していない——順序の誤りで不受給に
  9. 出勤簿・賃金台帳の整備不足——雇用系助成金では労務管理書類の提出が必要
  10. 就業規則が未整備——常時10人以上の従業員を使用する場合は作成義務あり
最も多い失敗:交付決定が出る前に内装工事や設備購入を始めてしまうこと。採択の通知が来ても、交付決定通知が届くまでは支出を開始しないでください。この順序を間違えると補助金を一切受け取れません。

採択率を高める5つのポイント

不採択パターンを避けるだけでなく、積極的に採択率を高める工夫もあります。以下の5つのポイントを実践してみてください。

  1. 商工会議所に締切の2か月前には相談する——計画書の添削・確認印が必要な制度もある
  2. 政策加点を積極的に活用する——賃上げ加点、創業加点など、該当する加点項目を確認する
  3. 数値目標を具体的に設定する——「補助金活用前後の売上・客数・利益率の変化」を数字で示す
  4. 差別化ポイントを明確に書く——「なぜあなたの事業が採択に値するのか」を論理的に伝える
  5. 証拠書類を事前に準備する——見積書、登記書類、決算書等の準備が遅れると機会を失う

困ったときの相談窓口

採択率を高めるポイントを実践するうえで、専門家の力を借りることも有効です。補助金申請の準備は、1人で抱え込まず、公的窓口を活用することをお勧めします。相談は無料のところが多く、書類の書き方から制度の選び方まで丁寧に教えてもらえます。

窓口 対象・特徴
商工会議所・商工会 持続化補助金等の確認印が必要。計画書の添削も相談可能
よろず支援拠点 経営全般の無料相談窓口。全国47都道府県に設置
日本政策金融公庫 創業融資の相談。事業計画書の書き方も相談可能
認定経営革新等支援機関 税理士・中小企業診断士等。ものづくり補助金等の申請支援
ミラサポplus 補助金情報の総合サイト。制度検索・申請相談窓口の案内

私が支援してきた方の中で、1回目の申請で不採択になったけれど、商工会議所のアドバイスをもとに計画書を書き直して2回目で採択された方が何人もいます。不採択でも諦めないでください。フィードバックを活かして再挑戦することが大切です。

内装費・設備費に使える補助金|開業コストを賢く抑える

飲食店の内装工事費や設備費は、複数の補助金の対象経費に含まれています。小規模事業者持続化補助金なら店舗改装費、ものづくり補助金なら厨房設備、省力化投資補助金なら券売機や配膳ロボットが対象です。補助金を活用して内装・設備投資の実質負担を減らしましょう。

補助金別・対象となる内装費・設備費

どの補助金で何の費用をカバーできるのかを整理します。補助金を前提とした資金計画を立てることで、実質的な開業コストを大幅に抑えられます。

  • 小規模事業者持続化補助金——店舗改装費、外装費、看板、什器備品の購入費(創業枠で最大200万円)
  • ものづくり補助金——厨房機器・調理設備・生産設備の導入費(最大1,250万円)
  • デジタル化・AI導入補助金——POSレジ、タブレットオーダー、予約管理システム等(最大450万円)
  • 中小企業省力化投資補助金——自動券売機、配膳ロボット、セルフレジ、自動精算機(最大1,500万円)
  • 東京都 創業助成事業——器具備品購入費、賃借料(最大400万円)

補助金を前提とした内装計画のポイント

どの補助金で何の費用をカバーできるか分かったところで、実際に補助金を使って内装・設備を整える際の注意点を確認しましょう。補助金を内装・設備費に活用するためには、スケジュールの設計が最重要です。以下の順序を守ることが前提条件です。

  1. 補助金への申請→採択→交付決定を先に済ませる
  2. 交付決定通知が届いてから、内装工事・設備購入の発注を行う
  3. 補助対象経費と対象外経費を明確に区分けする(混在すると審査で問題になる)
  4. 工事業者・設備販売店からの見積書は、申請前に取得しておく

実際に補助金で内装費をまかなったケースを見てきましたが、ポイントは「交付決定を待ってから工事に着手する」ことです。焦って先に工事を始めてしまうと、その費用は補助の対象外になります。開業スケジュールには余裕を持って計画してください。

補助金を活用した店舗設計・内装工事のご相談も承っています。

交付決定後のスケジュールを見据えた内装プランをご提案します。

内装・設備計画の無料相談はこちら →

よくある質問

開業助成金は返済不要ですか?

はい、助成金・補助金は返済不要の給付金です。融資(借入金)とは異なり、返済義務はありません。ただし、後払い(精算払い)が原則で、先に自己資金で支出した費用に対して後から補助金が支払われます。また、交付決定前の支出は対象外となるため注意が必要です。不正受給は返還命令の対象になります。

スタートアップ助成金はいくらもらえますか?

制度によって大きく異なります。飲食店開業者が使える主な制度の上限額は次の通りです。

  • 小規模事業者持続化補助金(創業枠): 200万円(インボイス特例追加で最大250万円)
  • デジタル化・AI導入補助金: 450万円
  • ものづくり補助金: 1,250万円
  • 中小企業省力化投資補助金: 1,500万円
  • 東京都 創業助成事業: 400万円
  • キャリアアップ助成金: 120万円/人(年間20名まで)

複数の制度を組み合わせて活用することも可能です。ただし、同一経費に複数の補助金を充当することはできません。

補助金を元手に飲食店を開業できますか?

残念ながら、補助金を開業資金の元手にすることはできません。補助金は後払い(精算払い)が原則で、先に自己資金で支出した費用に対して後から補助金が支払われます。開業時の資金は融資(日本政策金融公庫等)で調達し、開業後に補助金で資金を回収する計画を立てるのが現実的です。

小規模事業者持続化補助金の採択率はどれくらいですか?

直近の第17回(2025年6月締切)の採択率は51.0%です。23,365件の応募に対し11,928件が採択されました。ただし回によって変動が大きく、第16回は37.2%まで低下しました。事業計画書の質が採択を左右するため、商工会議所等の支援を受けて準備することをお勧めします。

助成金と補助金の違いは何ですか?

助成金は主に厚生労働省が管轄し、要件を満たせばほぼ確実に受給できます(代表例:キャリアアップ助成金)。補助金は主に経済産業省が管轄し、事業計画書の審査を経て採択される必要があります(代表例:持続化補助金)。どちらも返済不要の給付金で、後払いが原則です。

個人事業主でも使える開業補助金はありますか?

はい、個人事業主も多くの補助金の対象です。小規模事業者持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)、中小企業省力化投資補助金はいずれも個人事業主が申請可能です。また、各自治体の創業支援補助金も個人事業主を対象としているケースが多くあります。

補助金の申請から入金までどれくらいかかりますか?

申請から入金まで、一般的に1年以上かかります。内訳はGビズID取得に2〜3週間、事業計画書作成に1か月以上、審査〜採択に2〜4か月、補助事業実施期間に6か月〜1年、実績報告〜入金に1〜3か月です。このため、開業と並行して早めに申請準備を始めることが重要です。

飲食店の内装工事に使える補助金はありますか?

あります。小規模事業者持続化補助金の対象経費に「店舗改装費」が含まれています。通常枠で最大50万円、創業枠で最大200万円の補助を受けられます。また、ものづくり補助金では厨房設備の導入が対象になるケースがあります。いずれも交付決定後の着工が条件なので、スケジュールにご注意ください。

まとめ|補助金は「もらえるお金」ではなく「取り戻せるお金」

この記事の要点を5つにまとめます。

  1. 助成金・補助金は返済不要だが、後払い(精算払い)。開業資金そのものにはならない
  2. 飲食店開業者に最も使いやすいのは小規模事業者持続化補助金(創業枠:最大200万円)
  3. 融資(日本政策金融公庫)と補助金を組み合わせるのが現実的な資金計画
  4. 申請から入金まで1年以上。GビズIDの取得は今すぐ始めてよい
  5. 不採択でも再挑戦可能。商工会議所やよろず支援拠点に相談を

補助金は「もらえるお金」ではなく、「先に使った分を取り戻せるお金」です。この認識のもとで資金計画を立てれば、補助金は開業後の資金繰りを大きく改善してくれます。まず今日できることは、GビズIDプライムアカウントの取得手続きを始めることです。

今すぐ始められる3つのアクション

飲食店開業のリスクや判断材料を知りたい方は飲食店開業はやめたほうがいい?失敗率と成功するための条件もご覧ください。お住まいの地域の助成金を詳しく知りたい方は、福岡・東京・千葉・神奈川・大阪の各ガイドをご覧ください。

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