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ダイニングバーの開業資金は800万〜1,500万円|資格・届出・成功の5条件

9 min

「ダイニングバーを開業したいけれど、資金はいくら必要なのか」「届出や資格が多くて何から準備すればいいかわからない」──食事とお酒を同時に楽しめるダイニングバーは、出店したい業態ランキングで常に上位に入る人気業態です。

結論として、ダイニングバーの開業資金は初期費用500万〜1,000万円+運転資金3〜6ヶ月分で合計800万〜1,500万円が目安です。必要な資格は食品衛生責任者と防火管理者の2つで、深夜0時以降も営業する場合は警察署への届出が加わります。

この記事では、ダイニングバーの開業資金の内訳から資金調達方法、取得すべき資格と届出の一覧、開業までの流れ、そして経営を成功させる5つの条件までを網羅的に解説します。バー開業の全体像とあわせて、実務ガイドとして活用してください。

ダイニングバーとは?居酒屋やバーとの違い

結論

ダイニングバーは「食事とお酒の両方を本格的に楽しめる飲食店」です。バーよりフードメニューが充実し、居酒屋より空間やサービスの質にこだわる業態として差別化されています。

ダイニングバーの特徴と種類

ダイニングバーとは、バーの落ち着いた雰囲気を持ちながら料理メニューも豊富に揃えた飲食店のことです。カクテルやワインなどのアルコール類はもちろん、店舗のコンセプトに合わせた本格的な食事を提供します。

主な種類としては以下のタイプがあります。

  • 西洋居酒屋タイプ:カジュアルな雰囲気でワインやカクテルと洋食を提供するスタイル
  • ワインバータイプ:ワインに特化し、ペアリングで食事を楽しめるスタイル
  • ショットバー派生タイプ:本格的なカクテルに加え、フードメニューを充実させたスタイル
  • 無国籍料理タイプ:ジャンルにとらわれない創作料理とお酒を提供するスタイル

居酒屋・バーとの違いを比較

ダイニングバーは居酒屋やバーと混同されがちですが、提供する価値が異なります。3つの業態を比較すると、それぞれの立ち位置が明確になるでしょう。

比較項目ダイニングバー居酒屋バー
メニューの軸食事とお酒が同比率食事がメインお酒がメイン
客単価の目安4,000〜8,000円2,500〜4,000円3,000〜6,000円
空間の特徴おしゃれで落ち着いた雰囲気カジュアルで活気がある静かで大人の雰囲気
利用シーンデート・記念日・少人数の会食宴会・大人数の飲み会1〜2人で静かに飲む
フードの充実度高い高い低い(おつまみ中心)

ダイニングバーの強みは、食事とお酒の両方で売上を立てられる点です。居酒屋ほど客数に依存せず、バーほど客単価だけに頼らない経営モデルが構築できます。

ダイニングバーの開業資金は800万〜1,500万円

ダイニングバー開業資金の内訳
ポイント
  • 初期費用(500万〜1,000万円)と運転資金(3〜6ヶ月分)の合計で考える
  • 内装工事費が最大の支出項目で、物件の状態により大きく変動する
  • 居抜き物件を活用すれば初期費用を大幅に圧縮できる

初期費用の内訳と目安

ダイニングバーの初期費用は、店舗の規模やエリアによって異なりますが500万〜1,000万円が一般的な目安です。銀座や六本木などの一等地では1,000万円を超えるケースも珍しくありません。

費用項目目安金額備考
物件取得費150万〜300万円保証金・礼金・前家賃・仲介手数料など
内装工事費200万〜500万円雰囲気が重要なため高額になりやすい
厨房設備費50万〜150万円本格的な調理に対応する設備が必要
什器・食器・備品50万〜100万円グラス類・家具・照明・音響機器など
広告宣伝費20万〜50万円グルメサイト掲載・SNS広告・チラシなど
資格取得・届出費用2万〜5万円食品衛生責任者講習・防火管理者講習など

なかでも内装工事費が最大の支出項目です。ダイニングバーは空間の雰囲気が集客に直結するため、照明やインテリア、音響にこだわるほどコストが膨らみます。居抜き物件を活用すれば、工事費を大幅に抑えられるでしょう。

運転資金は3〜6ヶ月分を確保する

初期費用だけでなく、開業後の運転資金の確保も欠かせません。開業直後は売上が安定しないため、最低でも3ヶ月分、できれば6ヶ月分の運転資金を手元に用意しましょう。

運転資金に含まれるのは、家賃・食材の仕入れ費用・人件費・水道光熱費・通信費・広告費などです。月あたり80万〜150万円程度が目安となるため、運転資金だけで300万〜900万円の準備が必要になります。

新規開業した飲食店の約35%は1年以内に閉業するというデータもあります。資金不足による廃業を防ぐために、余裕を持った資金計画を立ててください。バー業態全体の資金計画についてはバー開業資金の目安と内訳で詳しく解説しています。

開業資金を抑える3つの方法

資金に限りがある場合でも、工夫次第で初期費用を大幅に削減できます。

  • 居抜き物件を活用する:前テナントの内装や厨房設備をそのまま使えれば、工事費と設備費を大幅にカットできる。ダイニングバーやレストランの居抜き物件なら特に効率的
  • 中古の什器・備品を調達する:冷蔵庫やエアコンなどの大型備品はリサイクルショップや業務用中古機器店で揃えることで、新品の半額以下に抑えられる
  • リースを活用する:厨房機器のリース契約を利用すれば、初期の一括購入費用を月々の支払いに分散できる

開業資金の調達方法4選

この節のまとめ

自己資金だけで開業資金を賄えるケースは少なく、日本政策金融公庫の融資や自治体の補助金を組み合わせるのが現実的です。自己資金は総額の3割を目安に準備しましょう。

日本政策金融公庫の創業融資

飲食店の開業で最も利用されているのが、日本政策金融公庫(JFC)の創業融資制度です。民間の銀行と比べて審査のハードルが低く、創業者向けの低金利融資を受けられます。

融資を受けるには事業計画書の提出が必須です。コンセプト・ターゲット・収支計画・市場分析などを具体的に記載し、返済の見通しが立つことを示す必要があります。自己資金は融資額の3分の1程度を目安に用意しておくと審査が通りやすくなるでしょう。

補助金・助成金を活用する

返済不要の公的支援も積極的に活用しましょう。ダイニングバーの開業で利用できる代表的な補助金・助成金は以下のとおりです。

制度名補助上限額対象となる経費
小規模事業者持続化補助金最大200万円チラシ作成・Web制作・広告費・店舗改装費など
IT導入補助金最大450万円POSレジ・会計ソフト・予約管理システムなど
各自治体の創業支援補助金自治体により異なる賃借料・内装費・設備費など

ただし、多くの補助金は後払い(立替払い)が原則のため、まずは自己資金か融資で支出する必要があります。公募時期や要件は年度ごとに変わるため、各制度の公式サイトで最新情報を確認してください。

民間金融機関の融資

メガバンクや地方銀行、信用金庫からの融資も選択肢の一つです。ただし、創業時は実績がないため審査が厳しく、保証人や担保を求められるケースが多い点に注意しましょう。

自治体が提供する「制度融資」を活用すると、金利や保証料の一部を自治体が負担してくれる場合もあります。地元の信用金庫は地域の事業者支援に積極的なため、一度信頼関係を築けば追加融資や経営相談にも応じてもらえるメリットがあります。

クラウドファンディングで資金と認知度を同時に獲得

近年はクラウドファンディングで開業資金を集めるケースも増えています。開業前からファンを獲得でき、資金調達とプロモーションを同時に行える点がメリットです。

一方で、目標金額に達しないリスクやリターン提供のコストも考慮する必要があります。あくまで融資や自己資金を補完する手段として位置づけるのが現実的です。

ダイニングバー開業に必要な資格と届出

注意

無資格・無届出で営業すると罰則や営業停止処分を受ける可能性があります。開業前に必ずすべての資格取得と届出を完了させてください。

必須の資格は2つだけ

ダイニングバーの開業に必要な資格は、食品衛生責任者と防火管理者の2つです。調理師免許は法律上必須ではなく、持っていなくても開業できます。

資格名取得方法費用目安所要時間
食品衛生責任者各都道府県の食品衛生協会が実施する講習を受講約12,000円約6時間
防火管理者日本防火・防災協会または消防署の講習を受講7,000〜8,000円甲種2日間・乙種1日間

食品衛生責任者はすべての飲食店で1名の配置が義務づけられています。調理師や栄養士の資格を持っていれば講習免除で資格者になれます。防火管理者はスタッフを含めた収容人数が30人以上の店舗で必要です。バーテンダーとしての資格は法律上不要ですが、取得しておくとスキルの証明に役立ちます。詳しくはバーテンダーの資格一覧をご覧ください。

開業に必要な届出・許可一覧

資格の取得に加えて、各行政機関への届出と許可申請を行いましょう。ダイニングバーの営業形態に応じて必要な手続きは以下のとおりです。

届出・許可届出先対象となる店舗
飲食店営業許可管轄の保健所すべての飲食店(必須)
防火管理者選任届管轄の消防署収容人数30人以上の店舗
深夜酒類提供飲食店営業開始届出管轄の警察署深夜0時以降も酒類を提供する店舗
開業届管轄の税務署すべての個人事業主(必須)
青色申告承認申請書管轄の税務署青色申告を希望する場合(推奨)

特にダイニングバーで注意が必要なのが深夜酒類提供飲食店営業開始届出です。深夜0時以降にお酒をメインに提供する営業を行う場合、開業の10日前までに届出が必要になります。届出をせずに深夜営業を行うと風営法違反で営業停止処分を受ける可能性があるため、必ず事前に済ませてください。

なお、接待行為を伴う場合は「風俗営業許可」が別途必要です。ダイニングバーのように食事と飲酒がメインであれば、通常は深夜酒類提供飲食店の届出で対応できます。接待の判断基準や営業区分の詳細はバーと風営法の関係|5つの営業区分と届出3ステップで解説しています。

ダイニングバー開業までの流れ7ステップ

ダイニングバー開業資金の内訳
補足

開業準備には6ヶ月〜1年が必要です。以下の7ステップを時系列で進めれば、抜け漏れなく準備を完了できます。

コンセプトを設計する

開業準備の最初の一歩は店舗コンセプトの設計です。「どんな客層に、どんな空間で、どんな料理とお酒を提供するか」を明確にしましょう。コンセプトが曖昧だと、物件選びやメニュー開発、内装デザインの方向性がすべてブレてしまいます。

コンセプトを具体化するには5W2Hのフレームワークが有効です。「30〜40代のビジネスパーソンに向けて、駅チカの15坪で、和食ベースのダイニングバーを客単価5,000円で営業する」のように一文で言い切れる状態を目指しましょう。

事業計画書を作成する

コンセプトが固まったら事業計画書に落とし込みます。事業計画書は融資審査で提出する書類であると同時に、開業後の経営判断の指針にもなる重要な資料です。

特に売上予測と損益分岐点の計算は融資担当者が重視するポイントです。客単価×席数×回転率×営業日数で月間売上を算出し、固定費をカバーできるかをシミュレーションしてください。

資金を調達する

事業計画書をもとに、必要な開業資金を調達します。前述のとおり、日本政策金融公庫の融資・補助金・助成金・民間融資を組み合わせるのが一般的です。自己資金は融資額の3分の1以上を目安に準備しておくと、審査の通過率が高まります。

物件を選定・契約する

物件選びはダイニングバーの成否を左右する重要なステップです。以下のポイントを基準に検討しましょう。

  • ターゲット層が多いエリアか:20〜40代のビジネスパーソンやカップル層が多い駅前エリアや繁華街が理想的
  • 競合店の状況:周辺に類似業態が多すぎるとシェアの取り合いになるため、出店エリアの競合を必ず調査する
  • 居抜き物件の活用:元バーやレストランの物件であれば、内装工事費を大幅に削減できる
  • 深夜営業が可能な用途地域か:住居専用地域では深夜営業に制限がかかる場合がある

内装工事・設備導入を行う

ダイニングバーの内装は「おしゃれで落ち着いた雰囲気」が基本です。間接照明・音響設備・カウンターやソファ席のレイアウトなど、五感に訴える空間設計を意識しましょう。

厨房設備は通常のバーよりも本格的な調理に対応できるスペックが求められます。コンロ・オーブン・製氷機・冷蔵庫・食洗機など、メニュー構成に合わせて必要な設備を洗い出してください。内装工事の着工前に保健所へ事前相談しておくと、施設検査での不合格リスクを減らせます。

メニューを開発する

ダイニングバーのメニューは、ドリンクとフードのバランス設計が重要です。一般的なバーはドリンクが売上の70〜90%を占めますが、ダイニングバーではフードの割合を40〜50%まで高めるのが特徴です。

メニュー開発のポイントは3つあります。コンセプトに沿った料理ジャンルの統一、看板メニュー(シグネチャーメニュー)の確立、そして原価率30%前後を目安にした価格設定です。

スタッフ採用とプレオープン

開業の1〜2ヶ月前にはスタッフの採用と研修を開始します。ダイニングバーでは接客の質が顧客満足度に直結するため、コンセプトを理解し、料理やドリンクの知識を持ったスタッフの育成が欠かせません。

オープン前には知人や関係者を招いたプレオープンを実施しましょう。オペレーションの確認や料理の提供スピード、スタッフの動線チェックを行い、本番に向けて改善点を洗い出すことが大切です。

ダイニングバー経営を成功させる5つの条件

ポイント
  • 独自コンセプトで競合と差別化する
  • FLコスト(食材費+人件費)を売上の55〜60%以内に抑える
  • リピーター獲得とSNS集客の仕組みを作る

独自性のあるコンセプトで差別化する

ダイニングバーは出店意欲が高い業態ゆえに競合も多い市場です。「イタリアンとワインに特化」「地元食材を使った和ダイニング」「ジャズの生演奏が楽しめるバー」など、一言で他店と差別化できるコンセプトを打ち出しましょう。

コンセプトが明確であれば内装・メニュー・接客・販促のすべてに一貫性が生まれ、お客様に「どんな店か」が伝わりやすくなります。

徹底したコスト管理で利益を確保する

利益を出すには、FLコスト(食材費+人件費)を売上の55〜60%以内に抑えることが重要です。食材のロス管理やシフト最適化、仕入先の見直しなどを継続的に行いましょう。

アルコール類は原価率が15〜25%と低いため、ドリンクの注文比率を高めることが利益率の改善に直結します。フードメニューの原価率が30%を超える品目は看板商品として割り切り、低原価率のドリンクで全体の収益バランスを取る設計が有効です。バー業態の年収や利益率の目安はバー経営の年収と利益率・成功5条件も参考にしてください。

リピーターを獲得する仕組みを作る

ダイニングバーの売上を安定させるには、常連客の存在が不可欠です。口コミによる集客が最も効果的な業態でもあるため、一度来店したお客様をリピーターに育てる仕組みがポイントになります。

  • お客様の名前や好みを覚え、パーソナルな接客を提供する
  • 季節ごとのメニュー変更やイベント企画で再来店の動機を作る
  • LINE公式アカウントやポイントカードでリピートを促進する

SNSとグルメサイトで新規集客する

ダイニングバーは「雰囲気」が魅力の業態であるため、InstagramやTikTokとの相性が非常に高いです。おしゃれな店内写真・映えるカクテル・盛り付けの美しい料理などをSNSで発信し、新規来店のきっかけを作りましょう。

食べログやホットペッパーグルメなどのグルメサイトへの掲載も認知度向上に効果的です。開業前からSNSアカウントを開設し、内装工事の進捗やメニュー開発の裏側を発信しておくと、オープン時の集客につながります。

立地とターゲットの整合性を保つ

高級志向のダイニングバーをオフィス街に出すのか、カジュアルなスタイルを繁華街に構えるのかで集客の成否が変わります。ターゲットの行動圏と出店エリアの特性を一致させることが安定経営の基盤です。

出店前には候補エリアの人通り・競合店・客層を現地で調査しましょう。平日と週末の両方で時間帯別の人流を確認し、自店のターゲット層が十分に見込めるかを判断してください。ダーツマシンの設置でアクティビティを加えた業態も検討する場合はダーツバーの開業ガイドもあわせてご覧ください。

ダイニングバー開業でよくある質問

補足

ダイニングバー開業前に多く寄せられる疑問について、Q&A形式で回答します。

Q

ダイニングバーは未経験でも開業できますか?

A

法律上は飲食業の経験がなくても開業できます。食品衛生責任者と防火管理者の資格を取得し、必要な届出を行えば営業可能です。ただし、調理・接客・仕入れ・経営管理のすべてを同時に行う必要があるため、開業前に飲食店での勤務経験を積んでおくことを強くおすすめします。

Q

100万円でダイニングバーを開業できますか?

A

100万円だけでのダイニングバー開業は現実的に困難です。物件取得費と内装工事費だけで数百万円かかるのが一般的です。ただし、間借り営業やポップアップバーから小さく始めてノウハウを蓄積し、資金を貯めてから本格出店するという方法もあります。

Q

ダイニングバーの深夜営業には特別な届出が必要ですか?

A

はい、深夜0時以降にお酒をメインに提供する営業を行う場合は、管轄の警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が必要です。届出なしで深夜営業を行うと風営法違反となります。届出は営業開始の10日前までに提出してください。

Q

ダイニングバーオーナーの年収はどのくらいですか?

A

ダイニングバーオーナーの年収は300万〜500万円が平均的な目安です。ただし、複数店舗を展開するオーナーや高単価路線で固定客をつかんでいるオーナーの中には1,000万円を超える方もいます。年収は売上規模・原価率・人件費・家賃によって大きく変動します。

Q

フランチャイズでダイニングバーを開業するメリットは?

A

フランチャイズ加盟のメリットは、ブランド力のある店名を使えること、仕入れルートやメニューが確立されていること、開業ノウハウのサポートを受けられることです。一方、加盟金やロイヤリティが発生するため、独立開業に比べて自由度は制限されます。自分のコンセプトを追求したい場合は独立開業、リスクを抑えたい場合はフランチャイズが適しています。