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飲食店経営に必要な資格2つと届出7種|費用と取得手順も解説

8 min

「飲食店を経営するには調理師免許が必要なのでは?」「開業に向けてどんな資格を取ればいいか分からない」──飲食店経営を目指す方にとって、資格や届出の全体像が見えないことは大きな不安要素です。

結論からお伝えすると、飲食店経営に必須の資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」のわずか2つです。調理師免許は必須ではありません。この記事を読めば、必須資格の取得手順・費用・届出の全体像が明確になります。

本記事では、飲食店経営に必要な2つの必須資格の取得方法と費用、経営に役立つおすすめ資格6選、さらに開業時に必要な届出7種を一覧で解説します。資格取得のスケジュールを立てるうえでの参考にしてください。

飲食店経営に必須の資格は2つだけ

結論
  • 飲食店経営に必須の資格は食品衛生責任者防火管理者の2つ
  • 調理師免許は飲食店開業に必須ではない
  • 2つとも講習受講で取得でき、合計費用は約1.5万円〜2万円
飲食店経営の必須資格と任意資格の分類を示す構造図

飲食店を経営するにあたって「たくさんの資格が必要なのでは」と不安に感じる方は多いですが、法律上必須とされる資格は意外にも少なく、食品衛生責任者と防火管理者の2つだけです。いずれも専門学校に通う必要はなく、所定の講習を受講すれば取得できます。

食品衛生責任者は全店舗で必須

食品衛生責任者とは、店舗内の衛生管理を担う責任者のことです。食品衛生法に基づき、飲食店を含む食品を取り扱うすべての営業施設で最低1名の配置が義務づけられています。

この資格がないと保健所への営業許可申請ができません。つまり、食品衛生責任者の取得は飲食店経営のスタートラインともいえます。各都道府県の食品衛生協会が実施する養成講習会を受講するだけで取得でき、試験に落ちる心配がない点も安心材料です。

防火管理者は収容30人以上で必要

防火管理者は、火災の予防・対策に関する管理業務を担う資格です。消防法に基づき、収容人数が30人以上の店舗では防火管理者の選任が義務づけられています。

ここで注意すべきなのが「30人」の数え方です。客席数だけでなく従業員(社員+アルバイト)も含めた合計人数でカウントされます。たとえば客席20席でも従業員が10人いれば合計30人となり、防火管理者の選任が必要です。小規模な飲食店であっても、従業員数を含めて確認しておきましょう。

調理師免許がなくても開業できる

飲食店を開業するうえで最も多い誤解が「調理師免許が必要」という思い込みです。調理師免許は飲食店経営の必須資格ではありません。調理師免許がなくても厨房で調理し、料理を提供することは法律上まったく問題ありません。

調理師免許は「調理師」と名乗るための名称独占資格であり、持っていれば食品衛生責任者の講習が免除されるなどのメリットはあります。しかし、開業のために急いで取得する必要はなく、まずは食品衛生責任者の講習を受けるほうが効率的です。

食品衛生責任者の取得方法と費用

ポイント

食品衛生責任者は講習1日・費用約1万円で取得可能です。調理師や栄養士などの資格保持者は講習が免除されます。

食品衛生責任者の資格取得フローを示す図解

養成講習会の内容と受講の流れ

食品衛生責任者の資格を取得するには、各都道府県の食品衛生協会が開催する養成講習会を受講します。講習は以下の3科目で構成され、合計約6時間で修了します。

  • 衛生法規(約2時間):食品衛生法の基礎知識
  • 公衆衛生学(約1時間):健康管理と環境衛生の基本
  • 食品衛生学(約3時間):食中毒予防・食品の取り扱い

受講の流れはシンプルです。まず食品衛生協会のWebサイトまたは窓口から講習の予約を行い、当日会場で受講します。講習終了後に修了証が交付され、この修了証が食品衛生責任者の資格証明になります。地域によってはeラーニング(オンライン受講)に対応している場合もあるため、事前に確認するとよいでしょう。

費用は約1万円で最短1日で取得

食品衛生責任者の取得にかかる費用は、自治体によって異なりますがおおむね1万円前後です。講習自体は1日で完了するため、仕事をしながらでも無理なく取得できます。

項目内容
受講料約10,000円(自治体により異なる)
講習時間約6時間(1日完結)
受講資格17歳以上(高校生不可の自治体あり)
有効期限なし(ただし定期的な実務講習の受講を推奨)
取得場所各都道府県の食品衛生協会

注意点として、講習は予約制のため人気の日程はすぐに埋まることがあります。開業スケジュールに余裕を持って、できるだけ早めに申し込みましょう。講習の予約が取れず開業時期がずれ込むケースは珍しくありません。

講習が免除される資格の一覧

以下の資格をすでに持っている方は、養成講習会を受講しなくても食品衛生責任者になれます。

  • 調理師
  • 栄養士・管理栄養士
  • 製菓衛生師
  • 食品衛生管理者
  • 船舶料理士
  • 食鳥処理衛生管理者

これらの資格を持っている場合は、保健所への届出時に資格証明書を提示するだけで食品衛生責任者として認められます。該当するかどうか不明な場合は、各地の食品衛生協会に問い合わせるのが確実です。

防火管理者の取得方法と甲種・乙種の違い

ポイント

店舗の延べ面積300㎡以上なら甲種、300㎡未満なら乙種の防火管理者資格が必要です。迷ったら甲種を取得しておけば問題ありません。

甲種と乙種の選び方

防火管理者には甲種と乙種の2種類があり、店舗の延べ面積によってどちらを取得すべきかが決まります。

区分甲種防火管理者乙種防火管理者
対象店舗延べ面積300㎡以上延べ面積300㎡未満
講習時間約10時間(2日間)約5時間(1日間)
受講料約4,000〜6,000円約3,000〜5,000円
受講方法日本防火・防災協会の講習日本防火・防災協会の講習

物件が未確定で面積が分からない場合は、甲種を取得しておくのがおすすめです。甲種は乙種の上位資格にあたるため、どの規模の店舗でも対応できます。なお、甲種・乙種ともに受講後の試験はなく、講習を修了すれば資格が取得できます。

講習の申込みから取得までの手順

防火管理者の資格取得は、以下の手順で進めます。

  • 一般財団法人日本防火・防災協会のWebサイトから講習日程を確認する
  • インターネットまたはFAXで受講申込みを行う
  • 指定日に講習を受講する(甲種2日間・乙種1日間)
  • 修了証を受け取り、消防署に届け出る

講習会場は各地域の消防署や防災センターで開催されるのが一般的です。食品衛生責任者と同様に予約はすぐに埋まりやすいため、開業スケジュールから逆算して早めに申し込むことが重要です。飲食店の開業準備全体の流れについては「飲食店開業の流れ8ステップ|資金・届出・資格を時系列で解説」で詳しく紹介しています。

飲食店経営に役立つおすすめ資格6選

補足

以下の資格はいずれも飲食店開業に必須ではありませんが、取得しておくと顧客からの信頼獲得や他店との差別化に役立ちます。

飲食店経営に役立つ資格の費用と難易度の比較図

調理師免許で信頼性を高める

調理師免許は、食品の栄養や衛生、適切な調理法に関する知識を証明する国家資格です。取得方法は、調理師専門学校を卒業する方法と、飲食店などで2年以上の実務経験を積んだうえで調理師試験に合格する方法の2つがあります。

必須ではないものの、「調理師免許を持つオーナーが作る料理」という事実は顧客への安心感につながります。また、食品衛生責任者の講習が免除されるメリットもあります。すでに飲食業界での勤務経験がある方は、開業準備と並行して取得を検討する価値があるでしょう。

ソムリエ・唎酒師で付加価値を出す

ワインを提供する飲食店ではソムリエ資格が、日本酒を扱う店では唎酒師(ききざけし)の資格が差別化に効果的です。

資格名認定団体費用目安取得期間
ソムリエ(JSA)日本ソムリエ協会約3万円3年以上の実務経験+試験
ワインエキスパート日本ソムリエ協会約3万円実務経験不要・試験合格
唎酒師SSI(日本酒サービス研究会)約8万円受講+試験(最短2日)

これらの資格を持つことでメニュー提案の幅が広がるだけでなく、お客様との会話のきっかけにもなり、リピーター獲得につながります。バーや居酒屋、レストラン業態では特に有効です。

栄養士で健康志向メニューに対応

栄養士は、栄養バランスの取れた食事の提供や栄養指導を行うための資格です。栄養士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業することで取得できます。上位資格として管理栄養士があり、こちらは栄養士取得後に国家試験への合格が必要です。

近年は健康志向の高まりから、カロリー表示やアレルギー対応メニューの需要が増えています。栄養士の知識を活かしたメニュー開発は、健康を意識する顧客層への強力なアピールになるでしょう。

その他の専門資格で差別化を図る

業態や提供メニューに応じて、以下の専門資格も飲食店経営で活用できます。

資格名概要活用場面
ふぐ調理師免許ふぐの調理・販売に必要な都道府県の免許ふぐ料理を提供する店舗では必須
製菓衛生師菓子製造の衛生知識を証明する国家資格パティスリー・カフェでの菓子製造
食品衛生管理者特定の食品加工業で必要な厚生労働省管轄の資格食肉製品・乳製品等の製造・加工

特にふぐ調理師免許は、ふぐ料理を提供する場合には都道府県の条例で取得が義務づけられている点に注意してください。ふぐ以外の一般的な飲食店であれば上記の資格は任意です。飲食店経営で成功するための能力や考え方については「飲食店経営で成功する人の特徴10選」も参考になります。

飲食店開業に必要な届出7種の一覧

この節のまとめ
  • 届出先は保健所・消防署・警察署・税務署の主に4か所
  • 従業員を雇う場合は労働基準監督署・ハローワークへの届出も必要
  • 届出ごとに提出期限が異なるため、スケジュール管理が重要
飲食店開業で必要な届出の提出先と時期の関係図

保健所に提出する届出

飲食店開業で最も重要な届出が、保健所への飲食店営業許可申請です。食品衛生責任者の資格証明書・店舗の図面・営業許可申請書を揃えて、店舗所在地を管轄する保健所に提出します。

申請後は保健所による店舗の現地検査が行われます。厨房設備・手洗い設備・換気・食器棚など細かい基準をクリアする必要があるため、内装工事の着工前に保健所へ事前相談するのが鉄則です。費用は自治体によって異なりますが、東京都の場合は18,300円です。

なお、菓子類の製造・販売を行う場合は飲食店営業許可とは別に「菓子製造業許可」が必要になるケースもあるため、業態に応じて保健所に確認しましょう。

消防署・警察署に提出する届出

消防署と警察署には、店舗の業態や条件に応じて以下の届出が必要です。

届出名提出先対象提出時期
防火管理者選任届消防署収容人数30人以上の店舗営業開始前
防火対象物使用開始届消防署新規出店・内装変更をする場合使用開始7日前まで
深夜酒類提供飲食店営業開始届警察署深夜0時以降に酒類を提供する店舗営業開始10日前まで

深夜酒類提供飲食店の届出は、バーや居酒屋など深夜0時以降も酒類をメインに提供する店舗で必要です。ラーメン店やレストランのように主食を提供する業態でビールなどを出す場合は、不要とされるケースもあります。判断に迷う場合は管轄の警察署に相談してください。

税務署・労働関係の届出

飲食店の開業形態に応じて、以下の届出も必要です。

届出名提出先対象提出期限
個人事業の開業届出税務署個人事業主として開業する場合開業から1ヶ月以内
青色申告承認申請書税務署青色申告を希望する場合開業から2ヶ月以内
労働保険の保険関係成立届労働基準監督署従業員を1人以上雇用する場合雇用開始から10日以内
雇用保険適用事業所設置届ハローワーク従業員を雇用する場合雇用開始から10日以内

開業届と同時に青色申告承認申請書を提出すると、最大65万円の所得控除を受けられます。提出期限を過ぎると翌年度からの適用になるため、開業届と同日に提出するのがベストです。開業資金の調達方法や助成金の活用については「飲食店開業に使える助成金・補助金一覧」で詳しく解説しています。

飲食店経営の資格でよくある質問

注意

資格の費用や講習内容は自治体によって異なる場合があります。最新情報は各管轄機関に直接お問い合わせください。

Q

飲食店経営に調理師免許は本当に必要ないのですか?

A

はい、調理師免許は飲食店の開業・経営に必須ではありません。法律上、飲食店経営に必要な資格は食品衛生責任者と防火管理者(収容30人以上の場合)の2つだけです。調理師免許がなくても厨房で調理し、料理を提供できます。

Q

食品衛生責任者と食品衛生管理者の違いは何ですか?

A

食品衛生責任者は各自治体(保健所)が管轄する資格で、飲食店を含むすべての食品取扱施設に必要です。一方、食品衛生管理者は厚生労働省が管轄する資格で、食肉製品や乳製品など特定の食品加工業で必要になります。一般的な飲食店では食品衛生責任者のみで問題ありません。

Q

飲食店経営の資格取得にかかる合計費用はいくらですか?

A

必須資格だけなら合計約1.5万円〜2万円です。食品衛生責任者が約1万円、防火管理者が甲種で約4,000〜6,000円、乙種で約3,000〜5,000円です。いずれも講習受講のみで取得でき、最短2〜3日で揃えられます。

Q

カフェ開業でも食品衛生責任者は必要ですか?

A

はい、カフェであっても食品衛生責任者の配置は必須です。ドリンクのみの提供であっても、食品を取り扱う営業施設にはすべて食品衛生責任者が必要です。カフェ開業の資格について詳しくは「小さなカフェ開業に必要な資格」をご覧ください。