「居酒屋を開業したいけれど、未経験で不安」
「フランチャイズに加盟すれば本当に儲かるのだろうか」
独立を考えるほど、費用やリスクへの疑問は膨らむものです。
結論として、居酒屋フランチャイズの開業資金は1,000万〜2,000万円、オーナーの平均年収は500万〜1,000万円が相場です。ブランド力と経営ノウハウを借りられる反面、ロイヤリティや経営の自由度など注意すべきポイントもあります。
この記事では、居酒屋フランチャイズの費用内訳・年収シミュレーションから、メリット・デメリット、失敗しない本部の選び方、開業までの手順と必要資格まで網羅的に解説します。
目次
居酒屋フランチャイズの仕組みと特徴
フランチャイズとは本部のブランド・ノウハウを借りて経営する仕組みであり、居酒屋業態では未経験者でも開業しやすい反面、ロイヤリティの支払いと経営方針の制約が発生します。
フランチャイズの基本的な仕組み
フランチャイズとは、本部(フランチャイザー)が持つ商標・ノウハウ・仕入れルートなどを加盟店(フランチャイジー)に提供し、その対価としてロイヤリティを受け取るビジネスモデルです。加盟店は独立した経営者として店舗を運営しつつ、本部のサポートを受けられます。
居酒屋のフランチャイズでは、メニュー開発・食材の仕入れ・スタッフ教育のマニュアルが本部から提供されるため、飲食業未経験でも一定水準の店舗運営が可能です。やきとり大吉や串カツ田中、養老乃瀧など、全国展開するブランドが代表的な例として知られています。
個人経営との違いを比較
居酒屋の開業方法は大きく「個人経営」と「フランチャイズ」の2つに分かれます。それぞれの特徴を以下の表で比較しました。
| 比較項目 | 個人経営 | フランチャイズ |
|---|---|---|
| 開業資金 | 500万〜1,500万円 | 1,000万〜2,000万円 |
| ブランド力 | ゼロから構築 | 本部の知名度を活用 |
| メニュー開発 | 自分で行う | 本部が提供 |
| 仕入れルート | 自力で確保 | 本部ルートを利用可能 |
| 経営の自由度 | 高い | 本部の方針に従う |
| ロイヤリティ | なし | 売上の3〜10%程度 |
| 開業後のサポート | なし | SV訪問・研修あり |
個人経営は自分の理想を追求できる自由度の高さが魅力ですが、集客やメニュー開発をすべて自力で行う必要があります。フランチャイズは初期費用がやや高くなるものの、開業直後からブランド力を活かした集客が期待できます。居酒屋の開業資金の詳細は別記事で解説しています。

居酒屋フランチャイズの開業費用と内訳
- 初期費用の相場は1,000万〜2,000万円
- 加盟金は100万〜500万円、ロイヤリティは売上の3〜10%が目安
- 居抜き物件の活用で初期費用を大幅に圧縮できる
初期費用の相場は1,000万〜2,000万円
居酒屋フランチャイズの初期費用は、選ぶ本部や物件の条件によって大きく変動します。新規物件で開業する場合は1,500万〜2,000万円、居抜き物件を活用すれば500万〜1,000万円程度に抑えられるケースもあります。
フランチャイズ比較サイトの掲載情報によると、居酒屋フランチャイズの平均的な開業資金は約1,700万円です。飲食フランチャイズの中でも居酒屋は宴会需要に対応するための広い客席・多彩なメニューに対応する厨房設備が必要なため、ラーメン店やカフェに比べると初期費用が高めになる傾向があります。
加盟金・保証金・研修費の内訳
初期費用の主な内訳は以下のとおりです。金額はあくまで目安であり、本部によって大きく異なります。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 加盟金 | 100万〜500万円 | ブランド使用料・ノウハウ提供の対価 |
| 保証金 | 100万〜300万円 | 契約終了時に一部返還される場合あり |
| 研修費 | 20万〜150万円 | 1〜3か月の研修が一般的 |
| 店舗取得費 | 200万〜800万円 | 敷金・礼金・仲介手数料など |
| 内装・設備工事費 | 300万〜1,500万円 | 居抜き活用で大幅削減可能 |
| 厨房機器・備品 | 100万〜500万円 | 本部指定の機器がある場合も |
| 運転資金 | 200万〜500万円 | 3〜6か月分を確保 |
物件選びが初期費用を左右する最大の要因です。居抜き物件なら内装工事費を数百万円単位で削減でき、厨房機器も既存設備を流用できる可能性があります。本部によっては既存店の引き継ぎプランを用意しているケースもあるため、事前に確認しましょう。

ロイヤリティの種類と相場
フランチャイズ加盟後に毎月発生するロイヤリティには、主に3つの計算方式があります。
| 方式 | 計算方法 | 相場 |
|---|---|---|
| 売上歩合制 | 月間売上の一定割合 | 売上の3〜10% |
| 定額制 | 毎月固定額 | 月5万〜30万円 |
| 粗利分配制 | 粗利益の一定割合 | 粗利の30〜50% |
居酒屋フランチャイズで最も多いのは売上歩合制です。なお「ロイヤリティ0円」を謳う本部もありますが、その場合はシステム使用料や広告分担金など別名目で月額費用が発生していないか、契約前に全費用項目を確認することが重要です。
居酒屋フランチャイズオーナーの年収
居酒屋フランチャイズオーナーの年収は500万〜1,000万円が目安であり、立地・業態・オーナーの経営力によって大きく変動します。
年収の目安と収支シミュレーション
フランチャイズ比較サイトの掲載データによると、居酒屋フランチャイズの月間平均営業利益は約95万〜105万円とされています。これを年収に換算すると、おおむね1,000万円前後です。ただし、この数値は好立地の成功モデルを含む平均値であり、すべてのオーナーが達成できるわけではありません。
現実的な収支シミュレーションの一例を示します。
| 項目 | 金額(月間) | 売上比 |
|---|---|---|
| 売上 | 400万円 | 100% |
| 原材料費 | 120万円 | 30% |
| 人件費 | 100万円 | 25% |
| 家賃 | 40万円 | 10% |
| ロイヤリティ(売上の5%) | 20万円 | 5% |
| 水道光熱費 | 16万円 | 4% |
| その他経費 | 24万円 | 6% |
| 営業利益 | 80万円 | 20% |
上記モデルでは年間の営業利益は約960万円です。ここからオーナー自身の社会保険料や税金を差し引くと、手取りは600万〜700万円程度になります。
年収に差が出る3つの要因
同じフランチャイズに加盟しても、オーナー間で年収に大きな差が生じます。その主な要因は以下の3つです。
- 立地:駅前・繁華街と住宅街では客数に2〜3倍の差が出る
- 原価管理:食材ロスの削減やドリンク比率の向上で利益率が変わる
- 人材マネジメント:人件費率を25%以内に抑えられるかが分岐点
居酒屋はドリンクの原価率が20%前後と低いため、ドリンクの注文比率を高めることが利益率向上の鍵になります。フード中心の客単価3,000円の店舗とドリンク比率の高い客単価3,500円の店舗では、月間の営業利益に20万〜30万円の差が生じることもあります。

フランチャイズ加盟の5つのメリット
- 開業初日からブランド力で集客できる
- 未経験でも研修とマニュアルで対応可能
- 仕入れルートとメニュー開発の手間を削減
- 金融機関の融資審査で有利になりやすい
- 開業後もSVによる経営サポートが受けられる
ブランド力で集客しやすい
居酒屋は競合が非常に多い業態です。個人経営の場合、開業直後はゼロからの認知獲得が必要であり、軌道に乗るまで数か月〜1年以上かかるケースも珍しくありません。
フランチャイズなら本部のブランド知名度を初日から活用できます。看板を見て「知っているお店だ」と安心感を持つ来店客が一定数見込めるため、オープン直後の売上が安定しやすい点は大きなアドバンテージです。
未経験でも研修で対応できる
多くの居酒屋フランチャイズ本部は、1〜3か月の開業前研修を用意しています。調理技術・接客マニュアル・衛生管理・売上管理といった経営全般を体系的に学べるため、飲食業の経験がなくても開業に踏み切れます。
実際に、あるフランチャイズ比較サイトに寄せられた口コミでは「パッケージの内容が簡単で、開業までが早かった」「未経験者でも成功しやすい業態だと思う」といった声が見られます。
仕入れ・メニュー開発が不要
個人経営ではヒットメニューの開発や食材の安定確保に多くの時間を割く必要があります。フランチャイズなら本部がすでにABC分析済みのメニュー体系を持っているため、主力商品の品切れリスクを抑えつつ食材ロスも軽減できます。
さらに、本部独自の仕入れルートを利用することでスケールメリットによるコスト削減が可能です。個人店では実現しにくい原材料費率30%以下を目指しやすくなります。
融資審査で有利になりやすい
日本政策金融公庫や銀行から創業融資を受ける際、フランチャイズ加盟は事業計画の信頼性を高める要素になります。すでに成功実績のあるビジネスモデルをベースに収支予測を立てられるため、融資担当者にとって審査がしやすいのです。
本部によっては融資申請のサポートや事業計画書の作成支援を行っているところもあります。自己資金が限られている方にとって、融資面でのバックアップは心強い要素です。
開業後の経営サポートがある
フランチャイズでは、開業後もスーパーバイザー(SV)が定期的に店舗を訪問し、売上データの分析・改善提案・スタッフ教育などのサポートを受けられます。個人経営では経営の全責任を一人で負いますが、フランチャイズならいわば「経営の伴走者」がいる状態で店舗を運営できます。
フランチャイズ加盟の4つのデメリット
- ロイヤリティが毎月の利益を圧迫する
- メニューや営業時間の自由度が制限される
- 契約解除時に違約金が発生する場合がある
- 本部の経営方針変更に左右される
ロイヤリティが利益を圧迫する
フランチャイズの最大のコスト要因がロイヤリティです。売上歩合制で5%の場合、月商400万円なら毎月20万円がロイヤリティとして差し引かれます。年間で240万円にのぼるため、個人経営と比較すると手元に残る利益は少なくなります。
特に開業直後は売上が安定しない時期にもロイヤリティの支払い義務があるため、運転資金に余裕を持たせておく必要があります。ロイヤリティの計算方式と総額を契約前に必ずシミュレーションしてください。
経営の自由度が制限される
フランチャイズでは、メニュー構成・価格設定・営業時間・店舗デザインなどに本部のルールが適用されます。「地元の食材を使ったオリジナルメニューを出したい」「営業時間を短縮したい」といった要望が通りにくいケースがあります。
自分の理想とする居酒屋像がはっきりしている方にとっては、この制約がストレスになる可能性があります。加盟前にどこまでオーナーの裁量が認められるかを具体的に確認しましょう。
契約解除時の違約金リスク
フランチャイズ契約には通常5〜10年の契約期間が設定されており、期間中に解約すると違約金が発生します。また、脱退後に一定期間・一定エリア内で同業種の営業を禁じる「競業避止義務」が課される場合もあります。
契約内容を十分に理解しないまま加盟すると、経営が思わしくない場合でも簡単に撤退できない事態に陥ります。契約書は必ず弁護士や中小企業診断士などの専門家にチェックしてもらうことを強くおすすめします。
本部の方針変更に左右される
本部がメニュー変更や価格改定を実施すると、加盟店はその方針に従わなければなりません。方針変更が集客にプラスに働く場合もありますが、地域の客層に合わない施策が強制されるリスクもあります。
また、本部自体の経営が悪化してブランド力が低下した場合、直接的な影響を受けるのは加盟店です。本部の財務状況や経営安定性も事前に調べておくべき重要な判断材料です。
失敗しないフランチャイズ本部の選び方
- 収支モデルの「前提条件」まで確認する
- 直営店の実績で本部の本気度を見極める
- 既存オーナーの声を複数聞く
- 契約書は必ず専門家に見てもらう
収支モデルと実績を確認する
説明会や資料で提示される収支モデルは、あくまで「理想的な条件下での予測」です。重要なのは、その収支モデルの前提条件(立地・客席数・客単価・回転率)が現実的かどうかを検証することです。
具体的には、以下の点を確認してください。
- モデル店舗の立地条件(駅からの距離・周辺人口)
- 想定客単価と来店客数の根拠
- 既存店舗の平均売上と営業利益のバラつき
- 閉店率と撤退店舗数の推移
収支モデルが実態と大きくかけ離れているフランチャイズもあるため、数字の裏付けを必ず確認しましょう。
直営店の運営状況を見る
本部が直営店を運営しているかどうかは、本部自身がそのビジネスモデルに自信を持っている証拠です。直営店がない、あるいは直営店の業績が芳しくない本部は、加盟店の成功よりも加盟金収入を優先している可能性があります。
可能であれば直営店に実際に足を運び、料理の品質・接客・店舗の清潔さ・客入りなどを自分の目で確認してください。
既存オーナーの声を直接聞く
本部が紹介するオーナーは成功事例が多い傾向にあります。より実態に近い情報を得るためには、本部を通さずに既存オーナーに直接コンタクトを取ることが理想的です。
確認すべき質問の例は以下のとおりです。
- 「実際の月商と営業利益は説明会の数字と一致していますか?」
- 「開業後に想定外だったコストや問題はありましたか?」
- 「本部のサポート体制に満足していますか?」
契約書は専門家にチェックしてもらう
フランチャイズ契約書は数十ページに及ぶことが一般的であり、専門用語も多く含まれます。特に以下の条項はトラブルの原因になりやすいため、弁護士などの専門家に確認を依頼してください。
- 中途解約時の違約金の算定方法
- 競業避止義務の範囲と期間
- 契約更新の条件と更新料の有無
- テリトリー権(商圏保護)の有無

居酒屋フランチャイズの開業手順
フランチャイズ居酒屋の開業は、情報収集から営業開始まで最短3か月〜6か月が目安です。必要な資格は食品衛生責任者と防火管理者の2つです。
開業までの7ステップ
居酒屋フランチャイズの開業は、以下の流れで進みます。
- 情報収集・比較:複数のフランチャイズ本部の資料を取り寄せ、費用・サポート・業態を比較する
- 説明会・個別面談:気になる本部の説明会に参加し、収支モデルや契約条件を確認する
- 加盟契約の締結:契約書を専門家にチェックしてもらい、納得した上で契約する
- 物件選定・取得:本部と相談しながら立地を決定し、物件を契約する
- 内装工事・設備導入:本部の仕様に沿って店舗を仕上げる
- 研修の受講:調理・接客・経営管理の研修を1〜3か月受ける
- 開業届出・オープン:各種届出を完了し、営業を開始する

必要な資格と届出
居酒屋の開業に必要な資格は、食品衛生責任者と防火管理者の2つです。調理師免許は法律上必須ではありません。
| 資格・届出 | 概要 | 取得方法・費用 |
|---|---|---|
| 食品衛生責任者 | 食中毒予防など衛生管理の責任者 | 各自治体の講習(約1万円・1日) |
| 防火管理者 | 収容人数30名以上の店舗で必要 | 消防署の講習(約8,000円・1〜2日) |
| 飲食店営業許可 | 保健所への申請が必要 | 申請手数料1.5万〜2万円 |
| 深夜酒類提供飲食店届出 | 深夜0時以降に酒類を提供する場合 | 警察署に届出(費用なし) |
飲食店経営に必要な資格と届出の詳細は別記事でも詳しく解説しています。深夜営業を行う場合は所轄の警察署への届出が別途必要になる点を忘れないようにしましょう。
居酒屋フランチャイズに関するよくある質問
Q
居酒屋フランチャイズは未経験でも開業できますか?
A
開業できます。多くの本部が1〜3か月の開業前研修を用意しており、調理・接客・経営管理を体系的に学べます。飲食業未経験から成功しているオーナーも少なくありません。ただし、研修だけで現場力が身につくわけではないため、開業後の継続的な努力は不可欠です。
Q
居酒屋フランチャイズの開業に必要な自己資金はいくらですか?
A
一般的に、総開業資金の30%程度の自己資金が目安とされています。開業資金が1,500万円なら自己資金は約450万円です。残りは日本政策金融公庫の新規開業資金や信用金庫の創業融資で調達するケースが多く、フランチャイズ加盟は融資審査でも有利に働きます。
Q
居酒屋フランチャイズの大手ブランドにはどのようなものがありますか?
A
代表的なブランドとしては、やきとり大吉、養老乃瀧、串カツ田中、浜焼太郎などがあります。それぞれ加盟金・ロイヤリティ・サポート体制が異なるため、複数の本部を比較検討した上で自分の経営スタイルや予算に合った本部を選ぶことが大切です。
Q
居酒屋フランチャイズで失敗する主な原因は何ですか?
A
主な原因は、資金計画の甘さ・立地選定のミス・人材確保の失敗・本部任せの経営姿勢の4つです。特に運転資金を十分に確保せず、開業直後の赤字に耐えられないケースが多く見られます。最低でも6か月分の運転資金を手元に残してからオープンすることが重要です。
Q
フランチャイズと個人経営、どちらが儲かりますか?
A
一概には言えませんが、安定性ではフランチャイズ、利益の上限では個人経営に軍配が上がります。フランチャイズはロイヤリティ負担がある分、利益の天井は低くなります。一方で個人経営はロイヤリティがない代わりに集客やメニュー開発をすべて自力で行う必要があり、成功と失敗の振れ幅が大きくなります。